久々に世迷いごとを書き連ねてみる。

 
オーディオ沼の深みに嵌った。と言っても所詮出来ないことは出来ない、その程度のものなのだが。
ヘッドホンアンプのp−700uについてなのだが、チョー有名どころで、たぶんヘッドホンアンプ
を一度でも買おうと思ったことのある人なら、必ず知っていると言える程のものだが、今まで散々、
何十回でもきかないほど店頭で試聴していたので、その良さは、それなりの状況を揃えてみないと分
かるようにはなるまいというか、効果を実感できるようにはならないだろうというか、有難味が分か
らないだろうと思っていたのだが、イベントの試聴コーナーであっさりと洗脳されてしまった。
(いい音を聴かせてくれたのになんて失礼な!分かる人には分かっていたんだなということかな。)
 
次世代機p−750uが発表されて、それとの聞き比べができるようになっていたのだが、買う気な
んて更々ないのだが、取り敢えず違いを確認しておこうと思い、聴いてみた。
 
今まで、Luxmanのヘッドホンアンプも、HPA+USB DACの複合機も結構試聴していて
特有の響きがあるという認識で、基本的には、なるべく、ストレートで飾り気の少なく、かつ、夫々
の音のリアリティがあるものが好きだと思っていて、そういう意味では、ちょっと違うのかなと思っ
ていたのだが、今回のイベントで聴かせてもらったものは、そういった感じとは明らかに違い、音の
存在感というか、リアリティがはっきりしていて、尚且つトータルでも、確りした音場を作っている
という印象だった。
 
いつもよく聴いている、MARCUS MILLERが入っていたので聴いてみた。ハイレゾはそれ
程用意していなくて、殆どがCDからのリッピングものなのだが、勿論その違いもあるだろうが、そ
んなもんではなかった。
 
何と言うか、これが求めていたものだ、というのも大げさだが、かなりツボに嵌ってしまった。いつ
ものLuxトーンじゃない!!!ってかんじか。
 
キラキラとしたような音、残響成分が沢山含まれていて、それによって音場の広さを感じるみたいな
そんなチーブな(大変失礼。今までその程度と思っていたのも失礼だが。)もんではなく、一つ一つ
の音に実在感が十分にあり、全体でも、わざとらしくなく、ちゃんとした広大な音場を聴かせてくれ
ている。
 
HD800(ヘッドホン)も自宅で聴いているいつものやつとは明らかに別物だ。こんなにダイナミ
ックな音がしたっけ。ベースのチョッパーの弾ける感じや、ゴリゴリとした音がリアルだ。
 
勝手に自分なりにリアリティを頭の中で想像(創造?)していたのだが、それにすごく近い感じがし
て、「いい!」と思ってしまった。もっと値段の高いものも随分と聴いてきたつもりだったのだが、
案外身近にあったのかと、今まで何をやっていたんだか、情けない限り。
 
いい音はいい音なんだが、何と言ったらいいか、兎に角傾向がちょっと違うのだ。
 
尤も、p−700uでも、上流まできちんと揃えて確り試聴したことは意外となかったんだというこ
となのだろう。p−700uの潜在能力はその程度ではなかったということだ。これもある程度予想
していたつもりだったのだが。
 
実は、ここ数か月、いやもっと前からか、ヘッドホンアンプのいいものがないか、ずっと探していた
のだが、なかなか試聴できる機会がなく、なので、今もって、p−700uが、まだ聴いたことのな
い数多くのヘッドホンアンプと比べて、どの程度かさえも分かっていないのだが、少なくとも、この
程度以上のものでないと、DACの聞き比べに使うには力不足だと思えた。
 
実売価格5,6万円のヘッドホンアンプでは、殆ど複合機に備え付けのアンプと大差ない。(まあ、
それ程値段だけで決まるものでもないだろうが、今回のことで、結局はどれだけ技術を注ぎ込んだか
が、結果として出ているような感じになってしまった。)きっと中には、時代遅れの技術を使って、
ただ単に肥大化してしまっているような製品もないとは言えないのだろうが、所詮そんな所までは、
分かるようになるはずもないだろう。
 
自分の耳で聴いてみないと分からないというのは確かだが、散々聴いて見た積もりでいても、全然分
かってないんだともいえるのが、沼の沼たる所以か。抜け出す方法が分からない。でも取り敢えず、
 
「買ってしまいました。」
 
自宅の環境は、イベントでの試聴環境に比べて遥かにチープだが、それでも、アンプの良さの違いは
はっきりと分かる。複合機も、DACの性能を出し切れていなかったのだということが判明した。
 
結局それで、何かいいことがあったのかというと、単に高いお金を出して、前よりいい音が聴けるよ
うになって、前よりいい音楽が楽しめるようになって、更に人の意見を素直に聴かなくなってと、良
かったのか悪かったのか知らないが、結局、いい音で音楽を楽しみたかったら、それなりにお金を掛
けなければダメだみたいな結論しか出てこないじゃないかということで、人と違ったことをしようと
してみても、そんなに大した違いは出てこないというか、出せないのだ。
 
ていうか、別に人と違ったことをしようとしていた訳でもないのだが、自分で聴いて自分なりの判断
を出すように心がけていたつもりだが、結局それは、自分のための答えが得られただけで、人に自慢
してもしょうがないし、人に押し付けてもしょうがないし、参考になるかも怪しい。
 
いいものに巡り合えたのは確かだが、それがベストかどうかも、全く分からない。いや、ベストの筈
がない。だからこその沼。ゆっくりと浸かってのんびり過ごすのが吉ということなのか。最低でも、
4,5年はこのネタで浸かっていたいものだが、たぶんじっとして居られないだろうなあ。
 
 
 
終わり。