この場をお借りしてお詫び申し上げます。てか。

 
実は何を隠そう、とんでもない勘違い野郎だった事を、ここでお詫び
しなければならない。
 
つい先日、何年越しになるだろうか、念願のというかまだ夢の途中で
はあるのだが、やっと何とかマシなオーディオの試聴環境を手に入れ
る事が出来た。といっても、入門者向けと一蹴されてしまいそうでは
あるが、その環境とはMDR−Z1000+U−05+PCというも
のである。
 
総額十万チョイなので、世間様からいわせりゃ「自慢するほどのもん
じゃねー!まだまだ入口だ。」てなもんだろうが、30代位までは、
ヘッドフォン1つに一万円以上かけるのも躊躇われた、そういう生活
意識で育ってきたので、結構大変な変化なのである。
 
それまでは、ただ只管、家電量販店や、オーディオショップへ行って
は、周囲の冷たい視線にもめげず試聴しまくり、兎に角、いつか必ず
自宅で、心ゆくまでいい音を楽しめるようにしたいものだと思い続け
て、感性を磨く努力をしていたのであった。なんてな。
 
で、まずはヘッドフォンを揃え、次にはヘッドフォンアンプ+USB
DACを購入のところまで何とかこぎつけた。
 
兎に角コンセプトは、「安くていい音のする環境づくり」である。
 
その前は、安くを優先しすぎて、中華に走っていたのだが、それでも
結構いい音だと自分では思っていた。だが、去年のDAC+ヘッドフ
ォンアンプ複合機のラッシュで、結構手の届きそうな値段で、ちょっ
としたリスニング環境が手に入るようになった。
 
そこで思い切ってU−05購入に至った訳である。
 
今までとは明らかに違う「良い音」を手に入れる事が出来たと思って
いるのだが、勿論今までの試聴で、もっともっと上がある事は承知の
上である。まあ、この感動がどこまで続くかは保証の限りではないが
古いCDや、リッピングデータもあるので、取り敢えずはそれらの聴
き直しで十分というか、むしろどう変わったのかを確かめてみたい。
 
そんな訳で、中華の安いヘッドフォンアンプや、USB DACなど
とも入れ替えたりしてみて、どこがどうだったのかを、検証(て程の
ものか?)して楽しんでいる最中である。
 
ところがここで、実は大きな勘違いを犯していた事に気づいてしまっ
たのである。
 
MDR−Z1000は解像度が高く、キレのある音を得意とするが、
低音がどうも弱いのと、音場が狭いのがたまにキズだと思っていたの
だが、ちゃんとしたヘッドフォンアンプを揃えた事によって、低音の
弱さはそれ程でもないという事に気づいてしまった。
 
なぜそんな勘違いを犯していたのかというと、それは「ラウドネス
の存在である。
 
数十年前、ラジカセというものが流行っていた時期があった。大体、
中学生ぐらいになると、周りのみんなも買ってもらえるようになるの
で「〜君が持ってるから家でも買ってー」という良くあるパターンに
なる訳だが、このラジカセに、「ラウドネススイッチ」なるものが、
大抵は付いていた。
 
今でもエフェクトとして残ってはいるようだが、フツ−の若者では、
知らない人も多いと思う。
 
別になんのことはない、音楽などを、ボリュームを下げて聴くときに
聴感上高音と低音が良く聴きとれなくなるという耳の特性を補ってや
るために、高音と低音を少しブーストしてやるというものである。
 
一言でいえば、「ドンシャリスイッチ」とも言えようか。
 
もう何十年も昔の話なので全く気にしていなかったのだが、今はそん
なスイッチは付いていないので、自然に、ボリュームを下げて聴いて
ばかりいれば、何となく日常的に、高音、低音が物足りなく感じてし
まうのも無理はなかったのである。
 
勿論、メーカーもそれを見越してか、どちらかというとドンシャリ
みに味付けしてあるものをちゃんと用意していたようだ。
 
実際、かまぼこよりはドンシャリのほうがまだいいような気がするの
は確かで、Z1000ももう少し低音が出ていればなーと思う事もし
ばしばあった。
 
ところが、自宅で存分聴ける環境を持ってみると、今まで自分が、難
聴になるのが嫌で、かなりボリュームを控えめにしていたのにやっと
気づいた。
 
ヘッドフォンアンプのボリュームを上げてやると、しっかり迫力のあ
る低音が出るのである。
 
ヘッドフォンのボリュームを上げて長時間音楽を聴くのは耳に良くあ
りませんよという言葉に惑わされて(いや、ホントの事だろうけど)
いつもボリュームを控えめにしていたのが、低音物足りない病の原因
の一つであったという事は確かなようである。
 
いままで、ヘッドフォンやヘッドフォンアンプの比較のレポートを幾
つも書いてきたが、そんな重要な事を見逃したままあーだこーだ言っ
ていたかと思うと、お恥ずかしい限り、でもないかと開き直る。
 
ラウドネス」(ってバンド名じゃねーよ)すっかり忘れ去っていた
言葉である。
 
まあ、それでも、低音が充分という訳でもないので、やはりもうちょ
っと低音が響いてもいいかもしれない。良い低音は心地よい眠りを誘
うZZZzzz。
 
でも実際のところ、ヘッドフォンで、音楽を二時間も三時間も聴き続
ける人は、やっぱり難聴にはちょっと注意した方が良いんじゃないか
な。自分は低音充分の環境で、二時間も三時間も聴き続けられる元気
はないです。
 
という事でこれからは評価するには「ラウドネス」にも少しは気をつ
けようと、自分に言い聞かせるのでした。Z1000にはかわいそう
な事をしたよな。でも、最近の流行を見てみると、最初から低音増強
気味な事は確かなので、仕方ないか。
 
でも、おかげさまで、Z1000はまだ現役でいられそうです。もう
すこしは。