二度と思い出したくもない「お弁当の思い出」。

 
今週のお題「お弁当の思い出」
  
 
 入社してまだ間もない頃、周りの事も良く分からず
何の気なしに受けてしまった仕事の引き継ぎ。
 
 
 担当者が途中で抜けてしまったらしいのだが、そう
言う訳だから、もうソフトウェアも外注に出し、ハー
ドウェアも、それなりに走りだして、試作を作り出し
てしまっているというのに、仕様書がない!
 
 
 ハードは流石にすべて社内なので、仕様書は有った
のだが、外注に出したソフトの企画書?というより、
概略書みたいなものしかなく、請け負ったメーカーも
数人で、ドロップアウトしたような、小さくて、経験
もまだまだ全然浅いような所だったので、大した取り
きめもせず、仕事を受けてしまったらしい。
 
 
 こっちも、メンバー交代していて、殆ど素人のよう
なもの。まあ、引き受ける奴がバカなのだが、そこが
入社したての甘チャンだったりする訳で、ここから、
怒涛の、仕様チェック(というよりソフトウェア企画
書作成から基本設計仕様書づくりに、仕様書を作りな
がらの仕様チェック、製品と繋げての動作チェック、
及び、試験機用のチェックプログラム作成などなど)
が始まったのである。
 
 
 もう後は想像されるような典型的デスマーチが続く
のだが、丸々3ヶ月間は休日全くなし、毎日残業夜中
の12時過ぎまで、更にそれでも終わらなそうなので
外注の設計者を呼び付けて、夜中まで会社に缶詰。
 
 
 残業時間にも限度が多分有ったと思うのだが、その
関係で、休日は残業につけられず、仕方なく、後で暇
になったら、消化するという事で、振替えという形に
したりして、でも結局後で振替休日を取ろうとしたら
係長と、課長の間で上手くいっていなくて、(という
か係長が上司に相談せず勝手に振替えと言う事にして
いたらしい)、何故かこっちが怒られてしまう始末。
 
 
 で、やっとお弁当の思い出になる訳だが、3ヶ月間
述べ二十数日、休日出勤で、昼はお弁当を近くの弁当
屋さんから取り寄せて済ませていたのだが、例の係長
が、仕切って、注文を取り、お金を集めて払っていた
のだが、この人が中々どうしてただでは転ばないよう
な人で、仕事の面でも、別に自分で指示を出していな
くても(実際本人が自分でソフトウェアを作ったのを
見た事がない)、これくらいは当然やってるよね的な
言い方をして、全部責任をおっつけてくるのが上手な
方で、随分悩まされました。
 
 
 で、お弁当なのだが、一つ注文するごとにサービス
券と言う物を貰えるのだが、これを自分が仕切ってい
るので全て自分で集めていて、ちゃっかり自分ひとり
で使っていたのだが、まあ、これぐらいは許せよう。
 
 
 問題はその後である。「○○くん、心配だったら、
もう少しチェックをする時間を取ろうか。」てな、ご
親切な提案をして下さった訳だが、実はこれが曲者。
 
 
 実際は、全体が終わらなそうなのを自分のせいにさ
れても困るので、「○○くんが、まだチェックが終わ
ってないので、日程が延びます。」と言うように上司
に報告したのであった。
 
 
 この辺はまだ序の口なのだが、一見皆の面倒をみて
しっかり仕切って仕事をしているように見せながら、
実際それをフォローしているのは、常に周りの人間な
のであった。そして自分はちゃっかり、上手く仕切っ
て見せる訳である。
 
 
 こういう人を敵に回すと、あらゆる手を使って、細
かい部分をツキツキとつつきまわされ、なお且つ、上
司に取り入るのは非常に上手なので、あっという間に
のけ者にされ、一人で仕事を背負わされ、泣く泣く、
タダ残の嵐となること請け合いである。
 
 
 それでも上司であるから、直属でなくても年下の人
間は仕事の事を聞かれたら答えないわけにはいかず、
バグの仕込み方から、エラーの出し方、日付の改変、
などを無理やり聞き出され、ターゲットとされた人物
にそれを適用する訳である。
 
 
 そこまで利用しておきながら、いざ人事となると、
今度は別の人物に、「xxくんと△△くんはどっちが
UNIXに詳しいかな。」とさりげなく聞いておいて
しっかりそれを人事に反映させてしまう訳である。
(多分上司に報告したのだろう、○○君が言ったって)
 
 
 つまりは、どっちが詳しいか言ってしまった人物の
せいで、xxくんは、よその部署へと飛ばされる事に
なったのであったらしい。
 
 
 責任は、軽々しく、「△△さんの方が詳しいと思い
ます。」と言ってしまった、大馬鹿ものがすべて背負
う事になり、しっかりその事も、○○くんがこう言っ
たから、君が移動させられる事になったんだよと、密
かに?親切に?教えてあげている訳である。
 
 
 確かに、その手の情報を軽々しく口にするのは非常
に甘チャンである事は確かである。
 
 
 そして、移動させられた人は、悔し紛れに、○○く
んにこう言ったのであった。「僕は○○君が大嫌いだ
。」
 
 
 まさに完璧。
 
 
 弁当の扱い一つでその人の性格が、全て滲みだして
いると、しみじみと今思うのであった。
 
 
 後に人は彼を「女系家族」と、尊敬の念を込めてそ
う呼んだのであった。男は女には有る面では叶わない
とでも言いたかったのであろうか。
 
 
 女性も随分とバカにされたもんであろう。
 
 
 しかし、いわゆる世間一般で言われるような男らし
さとは違うような物であるという事だけは確かなよう
だ。
 
 
 きっと今でも、目立たず騒がず、良い位置に付けて
いるに違いない。
 
 
 ご多幸をお祈りする。