「バカの壁」について。

 小さい本なので比較的簡単に読めた。これも、いつものごとく単
純化して言い切ってしまうと、それがいけないのだという事らしい

 
 
 世の中そんなに単純じゃないんだぞと。一つの事を妄信して、他
の考え方を受け入れようとしない。
 
 
 自分のごく周りの組織の論理だけにとらわれて、もっと大きな普
遍的といっては言い過ぎだが、人間として「これは誰が見てもそう
でしょ。」といえるようなものをなるべく探すようにする事だと、
そんな感じでしょうか。
 
 
 とにかく一元論にハマらないように、もっと多元的に物を見るよ
うにしなければだめだという事でしょうか。
 
 
 壁をぶち破る簡単な方法などある訳は無い、常に重荷を背負いな
がら、一歩一歩崖をよじ登って行くようなものだから、一瞬たりと
も気を抜いている暇は無い、完全無欠な人間などいない、全ての物
事を自分の意識下に置いて、思い通りにする事など決して出来る事
ではない。
 
 
 それが証拠に人間は眠らなければ一ヶ月と持たずに死んでしまう。
そういう生き物だから、必ず、無意識の状態にいることがあるのだ
と、結局、3時間しか寝ずに仕事をするといっても、3時間は寝て
いる訳で、全く寝ない訳ではない。
 
 
 だから、寝るという事も認めなければならない。完全無欠の存在
をただ一心に信じて崇拝するような宗教が、最近流行り始めている
が、日本は昔から八百万の神というものが、どこか頭の隅っこの方
に必ずあった。
 
 
 そんな日本の考え方というものも、そんなに悪いものではないん
じゃないか、そんな感じの事が書かれてあったと、最終的には解釈
しているといったところでしょうか。
 
 
 しかし、結局の所、人間そんなに行動範囲が広いわけでもなく、
人と人との付き合いも、世界中の人と付き合っていられる訳ではな
い。考え方が一元論的になりがちなのも、ある意味仕方のないこと
のような気もします。
 
 
 本の中でも言っています。一つのものを絶対視して信じている方
が遥かに楽なのだと。
 
 
 結局、良い本をいくら読んでも、そういった崖をよじ登りながら
登ったものでなければ分からない、新しく開けてくる世界を、発見
する喜びとともに日々努力を続けるような生活を進んで受け入れる
ような生き方に到達する事は並大抵の事ではないと、凡人としては
思ってしまうのでした。
 
 
 だからといって、全く参考にならないという訳でもないはず。今
までどおりの生活を送っていても、ある時、心の奥のどこかで、ほ
んのちょっぴりでも、何か感じた事を思い出して、ほんのちょっぴ
りでも違った考え方をして見るきっかけにでもなれば、無駄ではな
かったといえるのではないでしょうか。あんまり偉そうな事は言え
ませんな〜。