ダイナミックレンジが広いとはどういう事だろうか。

 ダイナミックレンジが広いと言う事は、簡単に言ってしまえば、
量子化のビット数が大きいと言う事になるだろう。

 高度な処理系においては、ダイナミックレンジは再生データの持
つダイナミックレンジよりも、広い場合が多い。全ての再生データ
を忠実に再現する為には、再生データのダイナミックレンジよりも
処理系のダイナミックレンジを大きく取る事が要求される。
 
 
 しかし、両者が一致しない場合は、何らかの処理を施して、レン
ジを揃えてやらなければならない。
 
 
 この例では、再生データに対して、補間を施す事により、より広
いレンジにあわせてやらなければならないだろう。
 
 
 この補間を施す場合、どのようなデータを採用したらよいだろう
か。前後の値の平均をとったり、或いは、より滑らかになるように
バッファリングして、より多くのデータから推測するようにしたり
してやらなければならない。
 
 
 だが、所詮は補間データは推測の域を出ないため、推測値の計算
方法によって、一定の「くせ」のようなものが出てきてしまう。
 
 
 
 これは元の再生データから計算される為、再生データのもっとも
高い周波数よりも低い周波数として、再現されてしまう。
 
 
 従って、処理系が高度であるにも拘らず、再生データに対して、
却って、不正確な情報を加えてしまう事になる。
 
 
 これを防ぐ為にはどうしたらよいだろうか。最も簡単な方法とし
ては、敢えて広いダイナミックレンジを、狭めて、再生データに合
わせてやる事が考えられる。すなわち、元々ない情報を作り出すこ
とを止め、有るがままの情報を出来る範囲内でもっとも性格に表現
できるようにしてやる事である。
 
 
 しかしこれでは、せっかくの高度な処理系の機能を、全く利用で
きない事になり、宝の持ち腐れとなる。
 
 
 何とか少しでも、音質の向上に役立てる事は出来ないものだろう
か。
 
 
 レンジは広げつつ、余分な情報を出来るだけ排除する方法は何か
ないだろうか。
 
 
 次回はそのような方法について、少し言及してみたい。