何処まで行くのか、オーディオの話。

 最近は少しでも、ピュアオーディオの世界の話を情報を仕入れてみようかと思い、時々、新製品が出ては、ホームページでスペックなどを確認したりしている。(こんな事やってるから、仕事してる暇が無いってか?)

 手の届かない製品の話でも、よく読んでみると、どうしてそういう値段になるのかが、少し見えてきたような気がすることもある。やはり、値段にはそれなりの意味が、必ずあるものだ(どういう意味があるかは千差万別、必ずしも高い=良い、という単純な物でもないのだが)というのが少し分かってきたりする。

 オーディオばかりにそうそうお金をかけても居られないので、こういった情報は非常に貴重だ。一応、その世界では安物でも、買って使ってみたからこそ、何処がどう違うのか、或いは違わないのかが、少しずつだが、見えてきたりする。

 PCオーディオの世界は、まだ始まったばかりだ。パソコンの進化と同じつもりで見ていると、チョッと勘違いする事もある。

 ピュアオーディオの世界も、デジタル化を無視できなくなっている事は確かだが、結局、最初と最後はアナログ、デジタルだけでは越えられない壁がある。

 デジタルは、時間と、データ情報を、切り離す事に成功した。リアルタイム性を必要としない部分については、充分な時間をかけてデータの精度を飛躍的に上げる事が可能になり、解析処理や、ノイズ除去、更には離散データの補間など、あらゆる処理を付加する事もまた可能になった。

 とともに、もう一度、時間と、データをくっ付ける為に、多大な努力と知識、装置などが必要になった。

 PCオーディオの世界は、計算間違いの許されないコンピュータの世界と、人間の聴覚に依存する、極めて主観性の高い分野とを結び付けようとしているのであるが、これが、意外に正確無比と考えられていたコンピュータ側に、ピュアオーディオにとっては良くない要素が、色々と含まれている事が判明してきた。

 時間に関しても、実は、パソコンは極めてルーズだったといわざるを得ない。データ情報と、時間とが切り離されて、データはあくまで、静的データとして、ストレージに保管されている。

 データの復元に関しても、マルチタスク技術のおかげで、完璧なリアルタイム性を保障する事は不可能である。

 (リアルタイムといっても、データが持っていた元の時間と同じ環境を作るという事で、いつでも、何処からでも復元可能だが、一旦復元を開始したら、終わるまでは、人間の感覚では到底分からないレベルでの正確な時間再生が要求される。途中で他の処理が割り込む事も、データの復元に時間がかかって、タイミングを逸してしまう事も許されない。)

 また、ノイズについても、データそのものについては、パソコンでも、パーフェクトである事が要求されてきた。むしろ、オーディオデータの方が、多少のエラーがあっても、何とか再生されてしまうという意味では、ルーズであるように思われた。

 しかし、これがまた、時間とデータを結びつける段階で、パソコンでは問題にならなかった、アナログノイズという問題を抱えている事が判明してきた。

 アナログノイズは、例え全てがデジタル化されても、必ず付きまとう、何処からでも進入してくる、そういう意味では、アナログの上にデジタルが乗っかっていると考えた方がいいかもしれない。デジタルデータを載せる土台であるアナログ部分は、アナログしかなかった時代と同じ或いはそれ以上に、ノイズに対して気を払わなければならなくなった。

 まあ、ほんの数ヶ月かそこらで、奥の部分まで分かるわけも無く、今回たまたま、十万円以上するような機器にどういう苦労があって、また、値段が高くなってしまう原因としてどういうものが影響しているのかを、ほんの少し、垣間見る事ができたような気がしたので、チョッと訳知り顔をして、色々と論理を展開して見たわけだが、これが必ずしも当たっているかどうかは分からない。

 しかし、パソコンばかりをやっていると、例えば単純にCPUはビット数を増やし、動作クロックを上げれば、処理速度が倍増する。更にCPUをマルチにすれば更に処理速度は、どんどん上がっていく(勿論、CPUといえども、頂点を極めようとすれば、現実はやはりアナログの世界に縛られているわけだが)と思いがちだ。

 PCオーディオでスペック比較を色々として見て、機種を選んだのだが、それはそれでまあ良しとして、「オーディオの世界はスペックだけでは語れない。」といった意見も聞かれるのだが、それもまたその通りなのだろう。

 が、パソコンの世界から見ても、まだまだより良い音で音楽を聴く為の改良の余地(つまり、主観的な部分でなく、客観的に回路をどうするとか、データ伝送の方法とか、ノイズ除去の方法とかあらゆる面で)は沢山残されていると思ったのであった。

 少しでも、高級機に使われている技術とかを聴く事ができるのは、ある意味ありがたいことだと思う。

 貴重な情報を「どうもありがとう。」と言っておこう。