TSUNAMI。

 私がまだ小学校だった頃、決して良い子ではなかった自分は、良く母親に怒られたものだった。何時もながら、何で怒られたのかは忘れてしまったが、怒られても、自分は何も悪い事をしてないと思うときには、決して謝らず、逆に母親に向かって、「くそババア!」などという暴言をよく吐いたものだった。そんな時母親は、大抵、「そのくそババアに飯食わしてもらっているのは何処のどいつだ。」と怒鳴り返してきた。それでも、学校であったことや、友達のこと、先生が言ったことなどは、母親に話したりして、ちゃんと意思の疎通は図られていた物だった。そんな母親だったが、時々家に帰ってみると、昼ドラを見ながら涙ぐんでいるのを眼にしたことがしばしばあった。その頃の昼ドラは、今のような恋愛モノのドロドロしたやつじゃなくて、「渡る世間・・・」のような家庭モノだったり、「おしん」みたいな時代物だったりして、(自分が今書いているこの話は「おしん」なんかよりずっと昔の話だが)子供の頃は何でこんなもんで涙が出るかと思っていたが、昔は良く、「年を取るとなみだもろくなってねぇ。」などと言うセリフがドラマの中でも使われていたりして、まあ、そんなもんかなぐらいにしか思っていなかったが(でも、この頃の母親はまだ年寄りではなく若かった)、子供心にも意外だと思ったものだった。そんな母親も、今ではすっかり年を取り、感情表現がすっかり乏しくなってしまって、表に出すようなことはすっかりなくなってしまった。そして今度は自分がドラマを見て柄にも無く訳もなく涙ぐんだり???しているのであった。これも遺伝と言うやつか。