スキヤキ2。

 ついこの間、元気で車を運転していた人が、ほんの数日の間に、吐き気を催し、熱を出し、目眩がするようになって、体調を崩し、入院し、その翌日は、まだ元気で(多少ろれつのまわらないような気がしていたのだが)人のことを気遣って、見舞いに来なくても良いなどと言っていたのも束の間、まるで別人の様になってしまった。と言っても未だに家のことを気にし、家族を気にし、色んな事ばっかりを気にしているのだが、焦点が定まらなくなってしまっているのだ。そしてそれは前にもどこかの誰かで見た状況なのだが、自分が何かしなくては、何かやらなければいけないことが沢山残っていると、取り付かれたようにあちらこちらをふらふらと歩き回ってしまうのである。
 一部始終を殆ど見ていた、自分としては、もう、言いようの無い気分でいっぱいである。何日間かぐっすり眠れば、良くなって戻ってくるんじゃないかと甘い考えを抱いていたのが、あまりに現実を知らな過ぎたと思い知らされた。昔は、そうやっていつも何日か家で寝ていれば元気になって、また何時もの様に為ってくれるとばかり思っていた。何度も繰り返し、やがて何時かは、二度と同じ事を繰り返さなく(せなく)なってしまう時がくるとは思っていたが、それが今回だった。それも、こういう形でくるとは全く思っても見なかった。気だけは人一倍しっかりしていると思っていたが、実は最も大きなストレスを抱えて頑張っていたわけだ。
ここで今思い出す。だれだったかが言っていた言葉。「がんばるな。」どうしてもここでまた、何とはなしに思い出してしまうのは、後悔4ヶ条だった。何故か役に立たなかったことばかりが思い出されてしまうのであった。